ガールズ&パンツァーの劇場版があまりに評判が良いので観た感想は、ガルパンはいいぞ。
正確にはVHS時代のレンタルビデオ店以来20年ぶりなんですがTSUTAYAに行ってみてガールズ&パンツァーDVD6巻借りて全話観てみました。300人ぐらいのデータセンターならネット通販で済んじゃう時代になんで貸し物理映像媒体屋が生き残っているのか不思議だったんですが、旧作2泊3日で108円、セルフレジでピッとかやって物理メディアのやりとりも単純明快で乙なものですね。単純明快。ビッグデータで人間の専売特許だと思われていた(ということも思われていた)問題解決すらコンピュータ化されそうな時代に、これから世の中に必要なことかも知れません。
古い話になりますが、ウチの親父は小学生の頃瀬戸内海を旧日本軍の水上機が飛び立つところを見たらしいんです。ものすごい水柱に度肝を抜かれ「これはこの戦争勝ったワイ」と当時の誰もが思ったそうです。そして戦後、親父が大学生として東京に居た頃は少しでも絵心があったら仕事があったみたいで東映「西遊記」のアニメーターもやったらしく、小学生だった俺に「宮崎駿というすごい奴が居る」「あらゆる映画は糞だが、こいつのアニメなら観てもヨシ」と指導してくれたのは親父です。以来「ラピュタ」とか親父から紹介されるような形で観ていたのですが、「紅の豚」の時になると、親父が
「宮崎駿は人間ドラマが苦手だな。飛行艇は確かに描き切っていたけど、”紅の豚”は描き切っていなかった」
これは的を射た意見だと思います。ゴミ映画「もののけ姫」なんてエボシ様を主人公にした方がマトモになります。でも宮崎駿にはその才能がない。なんか陰のありそうなキャラにボソッと一言印象に残るセリフ吐かせて終わっちゃう。「ラピュタ」みたいな冒険物や「トトロ」みたいなポエジーな作品ならいいですが、人の心を描いたドラマが描けないなら「紅の豚」なんてタイトルをつけずに「飛行艇時代」のままにすべきでした。人間ドラマといえば―――近藤さんだったんですが、あれでジブリの衰退は決まりました。
ともかく、宮崎駿が「紅の豚」とタイトルをつけずに「飛行艇時代」のまま戦争の道具が活躍する映画を作れるような才能と度胸と柔軟性のある人間だったら?―――その答えが「ガールズ&パンツァー」だと思います。表題に偽りなし。戦車が画面を動きまくり、女の子も(心身ともに)動きまくりますが、よけいなドラマは見せません。
いまの若い人は信じられないかも知れませんが、かつてのNHKの大河ドラマは教養番組だったんですよ。それが最近の大河ドラマはお下劣スタッフのオナニー番組でどの瞬間も観ているこっちが恥ずかしくなるシーンばかりです。そんな調子でここ20年ぐらいマトモにアニメ・映画の映像作品の類を観た記憶はありません。本・小説もそうです。マトモなのは小説「私を離さないで」ぐらいでしょうか。そんなえり好み激しい私がマトモに見ることが出来た稀有な映像作品が「ガールズ&パンツァー」です。この年末年始はガールズ&パンツァーです。どこぞの革新的なゲームを適当にアニメ化したシロモノのショックを受けた身体に、非常に良いモノを作ってくださり、ありがとうございました。