私は移動する時間のほとんどをリカンベントで移動しているので、冬にコートを着て立って歩くいう(!)行動を取ると笑ってしまう。丁度目の位置に地平線があるなんて、調子が良すぎて笑ってしまうのだ。ちなみに冬でも自転車に乗るときはジャージとTシャツに薄手のイベントブルゾンで下着は着ない。
かつてリカンベントに出会う前は当たり前だった光景、雰囲気、世界、…そういったものに再び出会い、また去っていく戸惑い、喜び、そういう自分を取り囲むほんわかした大気のようなものの儚さを感じることは、視覚、感覚、精神との対比、尺度がでかいだけに楽しい。
何を言ってもスキがなくてズルいと思わせる谷川俊太郎さんとメガネをきっちりかけた葛西薫さんが並んでなんか喋ってる絵は昭和の頃のなんだか難しい対談やってるテレビ番組そのものだった。俺は子供の頃、世の中はそういうもんだと憧れていた。懐かしいし、話の内容がしっかりした日本語を久しぶりに聞いてこれまた「ああ、日本語は言語だったんだ」と安心した。
やれゲームがどうとか、ちびまる子ちゃんとか、スマホはiPhoneだとか、そういう我々が普段居る世界は、やっぱり救いようのない下賎なものだったりする。肝心の内容は良く覚えていないが、谷川俊太郎さんがワープロやパソコンで詩を平気で書いていることには驚いた。榎戸一郎が「やっぱりキーボードで書いた文章はダメで筆(鉛筆やペンも含む)で書いた文章は引っ掻く様な存在感があるので良いんだ」と言っていて、俺もそうだと思うし、実際大事な文書を書くときは鉛筆で書いてからPCで起こさないとちゃんとした文章にならないでいたが、谷川さんはさらりとそうでもないとおっしゃっていた。
ついでに言えばかなり長文のstringを作って印刷屋に怒られていたそうで、これはテキストエディタを自作しようとしたら分かるが初期のメモリが少ないPCにとって線形リストは大変なのだ。windows9x時代のメモ帳やシンプルテキスト、あと初期のころのワープロだとそうはいかないな…と思ったりした。
あと谷川さんは掲示板も見てるそうだ。私の直感だが、きっと2ちゃんねるも見てるに違いない。